日米修好通商条約の締結によって、1859(安政6)年に横浜港が開港すると、さっそく西洋から多くの商人が来日し、海外貿易が盛んになっていく。もちろん、ビールやウイスキー、ワインなどの洋酒もその例外ではなかった。居留地に住む外国人の日用品として、盛んな取引が行われたのである。
1861(文久元)年11月23日付の週刊英字新聞『ザ・ジャパン・ヘラルド』には、「O・H・ベーカー・カンパニー」という会社が輸入商品の広告を出している。そこに並ぶ酒の種類は、ポートワイン、シェリー酒、シャンパン、ブランデー、ジン、ウイスキーそしてビールであった。ビールの銘柄は記されていないが、びん詰、樽詰の両方で販売されていたことが分かる。
横浜開港からわずか2年、他のさまざまな洋酒とともに、既にビールは輸入されていたのである。