1913(大正2)年に大阪の日本精版印刷が実施したポスター用原画の公募において、美人画を得意とする日本画家・北野恒富が描いた美人画が1等に選ばれた。この作品は、九州のビール会社・帝国麦酒に売却が決まり、その年に発売されたばかりの同社の製品「サクラビール」のポスターとなった。1等に選ばれたポスターの原画は、小菊のかんざしを差した女性の背景にカキツバタが描かれたものであったが、「サクラ」の名が付くビールのポスターとなるため、実際のポスターでは、カキツバタはそのままで、かんざしを桜に変更した図柄となった。
初期の美人画ポスターは、商品をアピールする図柄というよりも、美人画が先にあり、その中に商品名を入れるというものが多かった。
「サクラビール」のポスター(凸版印刷株式会社・印刷博物館 蔵)