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コラム

1947年

自由販売の特別価格酒が発売

終戦後の1947(昭和22)年12月、自由販売の特別価格酒が発売され、ビールは1本100円で販売された。『大阪焼跡闇市』によると、当時の様子は次のように述べられている。

「この暮れ、正月用の酒の特別配給は中止と決まり、左党はにがりきったが、代わって特価酒が自由販売されると知って安堵した。ところが、ビール1本100円、清酒一級一升が550円と特別価格がつけられた。配給価格でそれぞれ40円、250円のものがである。配給をやめ、高い酒を買わせる。(中略)その高値に溜息をつきながらも、酒屋の前には行列ができた」(『大阪焼跡闇市』)

戦後、大阪でビールや酒の配給はめったになかったが、それでも年末には正月用として酒5合かビール2本くらいが特別に家庭に配給されて庶民を喜ばせていた。しかし、この特別配給が廃止されてしまい、庶民はやむなく高い酒を求めて酒屋の店先に行列をつくったのである。

しかし、一方で久しぶりに思う存分ビールを飲めると喜ぶ人々もいた。ビール好きで有名な随筆家・内田百閒がその人である。特別価格酒が発売されるまで、百閒はつてを求めてヤミ取引のビールを買い、また他人の受けた配給ビールを回してもらって1本、2本、ときには4、5本のビールを一度に手に入れる幸運に恵まれたが、焼け石に水とビール不足を嘆いていた。百閒にとって高価とは言え、ある程度好きな時にビールが飲めるようになった特別価格酒は朗報であったろう。

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