1980(昭和55)年前後、ビール業界ではかつてないほどの「新製品ラッシュ」となった。
このとき店頭に並んだ新商品は、大別して二つのタイプに分けられた。
一つは「ビアガーデンの味をそのまま家庭に」と謳った、アルミ製のミニ樽入り生ビールである。1979(昭和54)年に朝日麦酒から3L入りの「ミニ樽」が売り出され、大人気となった。この大人気を受けて、他社も同様の樽入り商品を売り出した。
もう一つは、「いつでもどこでも手軽に飲める」のが売りの小型製品。「キリンライトビール」、「サッポロぐい生」、「アサヒ本生スタイニー」など、300〜350mlの小型びんは、グラスを使わずそのまま飲める手軽さで人気を集めた。さらに、缶商品でも250mlなどそれまでより小型サイズの商品が相次いで発売された。
この新商品ラッシュに端を発した、ビールの中味ではなく容器による「競争」は、この後数年間、さらに激しさを増して続いていくことになる。