1994(平成6)年、サントリーは発泡酒「ホップス」を発売し、これをきっかけに大手ビール各社が発泡酒市場へ順次参入することとなった。ここでいう「発泡酒」とは、ビールの原料中の麦芽使用比率を下げることで、酒税法上は「ビール」ではなく「発泡酒」に分類され、税率が低くなった商品のことを指す。
味や香りはビールに似ていながら、価格はビールの約3分の2という安さが人気を呼び、発泡酒の売上げは急増した。キリンビールが1998(平成10)年に発売した「麒麟 淡麗〈生〉」は発泡酒市場最大のヒット商品となり、それまで業界全体でビールの6%程度だった発泡酒の出荷量を、1998(平成10)年4月には約15%にまで押し上げる原動力となった。そのほかにも次々と発泡酒の新商品が登場し、売上げを伸ばしていったのである。