商品ブランドの歴史 商品ブランドの歴史

ハートランドビール

ハートランドのラベルのないエンボスびん

デザインはニューヨークの沖合に沈む200〜300年前のヨーロッパの沈没船から発見される、ラベルのないエンボスびんからヒントを得たもの。

1988年に地域限定で発売されたハートランドアルトビール

1988年に地域限定で発売されたハートランドアルトビール
(現在は販売されていません)

ハートランドのシンボルデザイン。

ハートランドのシンボルデザイン。


キリンラガービールに次ぐロングセラー「ハートランドビール」

ハートランドビールはキリンビール社の商品の中でも特色のあるブランドです。少し首の長いエメラルドグリーンのボトルには「KIRIN」の文字も、聖獣「麒麟」の絵柄もありません。その代わりに、大地にどっしりと根を伸ばす1本の大樹のエンボスが施されています。そのため、一見ではキリンビール社が製造・販売している商品とはわからないのではないでしょうか。

キリンビール社には100年を越すロングセラー商品「キリンラガービール」がありますが、「ハートランドビール」がそれに次ぐロングセラー商品であることは、あまり知られていないかもしれません。1986年11月に東京都内でオープンしたビアハウス「ハートランド」のハウスビールとして500mlびんで販売されたのが一般販売の始まりです。ハートランドビールが開発された背景は、当時の時代背景とその後訪れるだろう消費者の価値観の転換を予測したものでした。70年代の「普及の時代」から、80年代は溢れる情報・商品の中から個人が自分なりの価値基準で選ぶ「選択の時代」へ大きく転換し、お客様のニーズも物質的な充足を求めることより、新しい生活スタイルや自分らしさの追求に変化していくだろうと予測、また多品種少量化が時代の要請と捉えられていました。一方で、お客様にとってビールのイメージも「ビールは何を飲んでも変わらない」という画一化したものになっていると当時は分析していました。そんな時代にキリンブランドではないビールの楽しさを提供する商品として、『素(そ・もと)—モノ本来の価値の発見」』というコンセプトの元に、新しい生活意識・価値観を持つ人に向けて発売されました。

ハートランドビールが原料、ボトル色、形状、包材に特徴があるのはすべてがコンセプトに基づいた想いをカタチにしたからです。原料はビールの原点とも言えるオールモルト、ボトルに施したエンボスは「手で触れて初めてわかる良さ」を表現し、見た目にもやさしいエメラルドグリーンを採用。製造に関する情報はネックラウンドラベルに集約されました。

1988年11月には神奈川県限定で上面発酵ビール「ハートランドアルトビール」も発売されました。お客様の嗜好の多様化に対応して、新しい味と魅力を持ったビールを提供することを目的としていましたが、これはハートランドビールのブランド価値向上に役立てるという思いでの製造・販売でもありました。

ハートランドビールのコンセプトには「コミュニケーション」というキーワードもあり、これを実現したのが前出のビアハウス「ハートランド」でした。小さくてもコアなファンを作り、それに共感した輪を広げていく「共感型」のコミュニケーションです。当時のテレビ番組との相乗効果もあり4年間で延べ50万人を超えるお客様に足を運んでいただきました。

1986年からずっと変わらないおいしさは、これからもずっとシンプルに、素のままに。

ハートランドのラベルのないエンボスびん

デザインはニューヨークの沖合に沈む200〜300年前のヨーロッパの沈没船から発見される、ラベルのないエンボスびんからヒントを得たもの。

1988年に地域限定で発売されたハートランドアルトビール

1988年に地域限定で発売されたハートランドアルトビール
(現在は販売されていません)

ハートランドのシンボルデザイン。

ハートランドのシンボルデザイン。



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