商品ブランドの歴史 商品ブランドの歴史

杏露酒

「杏露酒」のラベル

1969年発売時の漢字でネーミングされた「杏露酒」のラベル

パッケージ

2005年に中身とともにパッケージをリニューアル

「そのままのめる杏露酒」

2010年には「そのままのめる杏露酒」として95mlの飲みきりサイズも発売※現在は販売されていません

「にごり杏露酒」

2011年発売の「にごり杏露酒」

「杏露酒」

2017年発売の「杏露酒」



あんずの実をまるごとじっくり漬け込んだお酒「杏露酒(しんるちゅう)」

1969(昭和44)年発売の「杏露酒」を中国のお酒、または中国から輸入しているお酒と思っている方々も多いかもしれませんが、「杏露酒」はキリングループである永昌源という会社のオリジナルのお酒として誕生しました。

「杏露酒」を語る前にまず、永昌源社の歴史についても少しご紹介します。永昌源社の設立当初の社名は、「櫛引酒造株式会社」といい、1948(昭和23)年に現在の埼玉県深谷市に設立されました。戦時中に中国旧満州で、酒造会社(満州酒造株式会社)を営んでいた関係者が帰国後、本場中国で学んだ技術を活かして、日本国内向けに中国酒をつくり出したのが始まりです。1950(昭和25)年に社名を「関東醸造株式会社」と変えて、焼酎甲類「関東」、薬味酒「五加皮」、「老酒」、などを製造・販売していきました。戦後の物資不足と資金難、さらに販売ルートがなく数年は苦難の日々が続きましたが、「中華料理を食べながら中国酒を飲んでもらおう」と中華料理店に直接販路を求めた販売戦略が功を奏し、日本のオリジナル中国酒を定着させることに成功し、1956(昭和31)年には焼酎甲類の製造を止め、中国酒に専念するに至りました。1966(昭和41)年には、中国酒を製造販売するメーカーとしてふさわしい現在の「株式会社永昌源」という社名に変更されました。社名の「昌」という字には「盛ん」という意味の他に「良い」、「美しい」という意味もあり「永く栄える美しい水源(みなもと)」が自分達のつくる中国酒なのだという想いが込められていました。

「杏露酒」を語る上でのキーワードは「果実浸漬酒(かじつしんせきしゅ)」。果実本来の美味しさを余すことなく引き出すために、果実を丸ごとお酒に漬け込む製造方法を用いたお酒の事で、「杏露酒」もこの製法が用いられています。1968(昭和43)年ごろ、新商品開発の際に日本人の味覚に合うお酒とはどんなものだろうかと話し合われ、始めは日本の多くの家庭でつくられる「梅酒」が検討されましたが、「永昌源がつくるなら中国原産の果物で」ということで挙げられたのが「あんず」だったのです。
あんずのお酒をつくるというアイデアが生まれてから実際に出来上がるまでは試行錯誤の連続。複雑な工程を経てその原型が出来上がるまでに相当の時間を費やしました。そうして、ようやく誰もつくったことのないあんずの酒ができあがり、いざネーミングをどうするかでも、喧々諤々の議論がありました。世の中にはカタカナ語が流行しており、そんな時代にはアプリコット、フィズなどのカタカナ語が時代にふさわしいのでないかとの意見が多かった中、、他社がマネできない個性的な商品名を付けたいということで提案されたのが杏の露という言葉で「杏露酒」でした。会議メンバーはこの「杏露酒」という文字の持つ清々しい美しさに、読み方もわからないまま惹きつけられました。そしてこれが「しんるちゅう」と読むとわかった時に、中身と商品のイメージが完全に一致し商品名として決まったのでした。

2005(平成17)年に味・パッケージともにリニューアルされました。「フルーティで甘ずっぱい、クセがなく誰にでも飲みやすいちょっとシアワセになれるお酒」として、素材にもこだわり、ハチミツやあんず果汁などを使うことで、より一層のあんずらしさを味わえるお酒になったのです。さらに、2010(平成22)年には、“そのままのめる杏露酒シリーズ”として、アルコール分8%の「そのままのめる杏露酒」(終売)を、翌2011(平成23)年には、とろっとした飲み口の「にごり杏露酒」も発売されバラエティも豊富になりました。
 
そして、発売から48年の2017年には、あんず果汁の比率をアップさせることで、あんずの香りがより華やかに感じられ、さらにみずみずしくフルーティーな味わいになりました。ロゴデザインも一新され、パッケージもリニューアル。販売元も永昌源からキリンビールへ移管し、「杏露酒」本来の国産の果実リキュール商品として認知拡大を目指していくことになりました。
「杏露酒」のラベル

1969年発売時の漢字でネーミングされた「杏露酒」のラベル

パッケージ

2005年に中身とともにパッケージをリニューアル

「そのままのめる杏露酒」

2010年には「そのままのめる杏露酒」として95mlの飲みきりサイズも発売※現在は販売されていません

「にごり杏露酒」

2011年発売の「にごり杏露酒」

「杏露酒」

2017年発売の「杏露酒」



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