書物に登場した「びいる」の文字
(大槻玄沢著『蘭説弁惑(らんせつべんわく)』)
大槻玄沢(早稲田大学図書館 蔵)
蘭学の道を拓いた先駆者たちとの出会い
大槻玄沢は、陸奥国一関藩(現・岩手県一関市)の医者の家系に生まれ、父も藩医であったことから自然と医者を志した。のちに江戸へ出るが、そのきっかけをつくった人物が一関藩医・建部清庵(たけべせいあん)である。玄沢が13歳の時から師事した清庵は、一関では知らない者がいないほどの名医だった。阿蘭陀正月の様子を描いた「芝蘭堂新元会図」(早稲田大学図書館 蔵)
蘭学界へ残した偉大な功績
蘭学修行が認められ江戸詰の仙台藩医となった玄沢は、蘭書の翻訳や西洋学問・西洋文化の手引書の執筆に邁進するようになる。主な業績としては、オランダ語を解説した『蘭学階梯(らんがくかいてい)』の著作や、ショメールの『家政百科』を翻訳し『厚生新編』を刊行したことなどが挙げられる。前述の『蘭説弁惑』も、そうした著述の一つである。おすすめ記事
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