小説に登場する印象的なビール
夏目漱石肖像写真(国立国会図書館 蔵)
文学三昧の日々を過ごしたロンドン留学
小説を書きはじめる5年前の1900(明治33)年から2年間、漱石は、文部省から英語研究のためにイギリスへの留学を命じられる。妻・鏡子と生まれたばかりの長女・筆子を残して単身ロンドンに渡った漱石は、生活費を切りつめ、より安い下宿を転々としながら、ひたすら文学に没頭した。かねてから教師生活に安住できず、文学三昧の生活を送りたいと願っていたのである。死に際した漱石が口にしたアルコール
「あらゆる冒険は酒に始まるんです。そうして女に終るんです」とは、小説『彼岸過迄(ひがんすぎまで)』の中で、アルコールの弱い主人公に、同じ下宿仲間が言うせりふである。漱石自身、アルコールは強くなかったが、憂いを癒して気分を高めてくれるアルコールの効果を期待していたのだろう。酒宴を開いて巧みな話術を披露することもあったという。漱石と弟子や仲間たちの会合の場を描いた津田青楓画「漱石山房と其弟子達」 (日本近代文学館蔵)(c)Mari Suzuki & Japan Artists Association, Inc. 2006/06253
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