菌類研究のため世界を放浪
南方熊楠(国立国会図書館 蔵)
ビールとともにあったイギリス留学
南方のロンドンにおける学究生活の中で、ほぼ唯一の学問以外の楽しみがビールをはじめとするアルコールであった。アルバイトなどで得た金はたいがい飲酒代として消えていった。博物館からの帰りにはよくパブでビールを飲んでから帰路についたという。当時の日記には次のような記述が残る。南方の論文が掲載された科学誌 『NATURE』(財団法人南方熊楠記念館 蔵)
合祀反対と自然保護運動に尽力
帰国して一年たち、南方は熊野にある勝浦へ移住する。ここで彼は生物の多様性にひかれ、取りつかれたように熊野の山中を歩き回り藻類や菌類を採集した。顕微鏡と鉛筆水彩画と紙を携え、夏も冬も常に浴衣に縄の帯といういでたちであったらしい。そのころの楽しみは、やはりビールを飲むことだったようだ。ときには勝浦港の漁師たちと飲むこともあったらしい。好きな研究に明け暮れ、アルコールを楽しむというライフスタイルは、南方の生涯を通して変わっていない。おすすめ記事
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