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テーマ別解説

レジャーとビール

(8)家庭でもビール片手にスポーツ観戦
1953(昭和28)年にテレビ放送が開始されると、街頭テレビの前には人だかりができた。1950年代後半、家電ブームにより、「三種の神器」の一つであった白黒テレビは急速に家庭に普及し、スポーツ中継はテレビの人気番組の一つとなっていく。

テレビでの野球中継は1953(昭和28)年8月29日、後楽園球場で開かれた読売巨人軍対大阪タイガース(現・阪神タイガース)のナイターから始まり、その後1990年代にかけて、高視聴率をマークし続けた。

東京オリンピックが開催された1964(昭和39)年には、NHKの受信契約件数は1,700万台を超えており、大半の世帯にテレビが普及していた。東京オリンピックは、日本はもちろん、初めて全世界に衛星中継されたスポーツの祭典であった。以後、テレビのリアルタイムの中継により、人々は茶の間にいながらにして、世界のスポーツの楽しさ、感動をライブ感覚で楽しむことが可能になった。

ちなみに、全局高世帯視聴率【関東地区】(ビデオリサーチのWEBより許諾を得て掲載しています※無断転載禁止)によると、1962(昭和37)年からの歴代視聴率では、2位が東京オリンピック大会の女子バレー、3位が日韓共催サッカーワールドカップ、4位がプロレスの力道山の試合、5位と8位がボクシング・ファイティング原田のタイトルマッチ、7位がサッカーワールドカップフランス大会、10位が第20回オリンピックミュンヘン大会と、10位までの番組のうち八つをスポーツが占めている(2015年12月現在)。特に、世界的なスポーツの祭典が高視聴率をマークしていることが分かる。

1980年代、カフェバーが大流行した時代に、店内のテレビで音楽のプロモーションビデオを見せることが流行したが、1990年代には、スポーツ中継を見せる「スポーツバー」、「スポーツカフェ」などの飲食店が登場した。これらの飲食店はサッカー日本代表のワールドカップ出場、日本人メジャーリーガーの活躍などでメディアに大きく取り上げられるようになり、社会的に広く知られるようになった。このスポーツ系飲食店への親しみの度合は世代・性別によって異なり、サッカーのワールドカップが開催された2014(平成26)年にキリンが行った調査で、「今年のサッカーワールドカップの日本代表戦をどこで観戦する予定か」という質問に対し、「スポーツバー/飲食店」と答えた人は全体で4.8%だったが、20代では13.5%に達した。

2002(平成14)年の日韓共催ワールドカップ以降行われるようになった、スタジアムの大型スクリーンで試合を観戦するパブリック・ビューイングの会場でも飲食物の販売があり、多くの人々がビールを口にしている。

世界にはワールドカップの開催中はビールの販売量が伸びる国もあるが、日本ではそれほど明確な関連は認められない。しかしキリンの2014(平成26)年の調査で「サッカーワールドカップの日本代表戦を見ながら飲みたい物」を全国の男女に質問(複数回答)したところ、81.7%が「ビール」と回答し、2位の「ビール以外のビール類」(28.7%)、3位の「チューハイ/サワー」(26.4%)に大差をつけた。

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