酒・飲料の歴史 日本のビールの歴史 酒・飲料の歴史 日本のビールの歴史

時代別解説

江戸時代後期〜幕末(〜1868)

日本人とビールの出会い

(2)出島で行われたビールづくり
日本で初めてビールを醸造したヘンドリック・ドゥーフ

日本で初めてビールを醸造したヘンドリック・ドゥーフ(ドゥーフ像(部分)川原慶賀作 神戸市立博物館蔵 Photo : Kobe City Museum / DNPartcom)

江戸時代、西洋との交易はオランダのみに限られていた。長崎の出島にはオランダ商館があり、西洋文化は出島経由で入ってきた。その出島で江戸時代後期にビールが醸造された記録がある。

出島に滞在したオランダ人は、生活必需品の多くを本国からの船便に頼っていた。ビールも船で運ばれてくる品の一つであったが、1809(文化6)年からの数年間、ヨーロッパでの戦争の影響でオランダ船の来航が途絶えてしまう。ビールを欲した商館長のヘンドリック・ドゥーフは、1812(文化9)年に自らビール醸造を試みた。

ドゥーフの手記である『日本回想録』には、彼が当時の家庭百科辞書を参考にしてビールの醸造を試みたことが書き残されている。それによると、ビールの味がする液体はできたが、十分に発酵させることができず、ホップも手に入らなかったため3、4日しか保存できなかったという。

当時出島で生活していたオランダ商館員にとって、ビールはなくてはならないものだったようである。
復元された出島の料理部屋

復元された出島の料理部屋(長崎市文化観光部出島復元整備室 提供)

ドゥーフが参考にした辞書のうちの1冊、ショメール編『家政百科』

ドゥーフが参考にした辞書のうちの1冊、ショメール編『家政百科』(長崎大学附属図書館 蔵)


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