酒・飲料の歴史 日本のビールの歴史 酒・飲料の歴史 日本のビールの歴史

時代別解説

平成元年〜(1989〜2000年代)

ビール文化の多層化

(2)多様化が進むビール
ドライブームがきっかけとなり、1980年代後半から1990年代前半にかけて、ビールの新商品が次々と発売された。地域限定や季節限定、プレミアム、カロリーオフに加え、苦味や炭酸を強調したビール、ライフスタイルや飲用シーンをコンセプトにしたビールなどが次々と発売された。1989(平成元)年のビールの新製品は10種類以上にのぼり、「中身の新製品は数年に一度が常識だったビール業界にとっては、「歴史始まって以来の革命」」(『読売新聞』1989年7月12日)と当時の新聞に書かれている。1990(平成2)年に「キリン一番搾り生ビール」が発売されると、競争はさらに激化した。

輸入ビールは海外旅行の経験者や若者に人気が高かったが、1980年代の後半から円高と規制緩和を背景にビールの輸入量が年々増加し、世界各国の銘柄が店頭に並ぶようになった。デパートには外国ビールコーナーが設置され、外国ビールの専門店も登場した。円高の進行で輸入ビールは価格競争力を高め、1993(平成5)年12月、大手スーパーがベルギー産の缶ビール「バーゲンブロー」(330ml)を国産ビールよりも安い128円で販売し、大きな話題を呼んだ。

なお、財務省貿易統計によると、ビールの輸入量は1994(平成6)年をピークに年々減少し、2006(平成18)年の輸入量は1994(平成6)年の約11.6%となっている。

1994(平成6)年にビールの最低製造数量の基準引下げが実施されると、「地ビール」の製造に乗り出す企業や団体が続々と現れた。海外の小規模ブルワリーのビールを飲んだ経験のある人が増えたことも下地となったようである。マスコミ報道による話題性もあり、地ビールブームが起こった。

これらのブルワリーではエールやデュンケル、ヴァイツェンなどのヨーロッパの伝統的なビールや、個性的なビールがつくられた。なかには首都圏や都市部で販売されている商品もあり、ネットショップや通信販売でも入手できた。

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