1973(昭和48)年のオイルショックの翌年、日本は戦後初めてのマイナス成長を記録し、高度経済成長時代は終焉を迎えた。1991(平成3)年のバブル崩壊まで安定成長期が続くこととなる。
1980年代になると、物質的な生活水準はほぼ充足され、消費の対象は趣味や嗜好に合わせて多様化するとともに、モノからサービスへの移行が目立ち始めた。食生活では、1979(昭和54)年に国民一人当たりの米の年間消費量が初めて80kgを割り、1986(昭和61)年には1世帯あたりの魚介類の消費量が46.2kg、肉が46.6kgとなって、初めて肉と魚が逆転するなどの変化が起きた。
1970(昭和45)年には、ケンタッキーフライドチキン一号店が名古屋に、翌年マクドナルドの第一号店が東京銀座に開店し、またたく間に店数を増やしていった。ファミリーレストランも次々と開店した。
ビールは、新しく登場した外食産業のほとんどで提供され、一杯目の「とりあえずビール」も定着した。だが昭和30年代には平均12%だったビール消費量の伸び率は、昭和40年代には平均7.5%、昭和50年代は平均2.6%となった。ビール業界も安定成長期に入ったのである。
ダイエットブームや健康食ブーム、ビタミンブームなど、健康に対する関心が高まった時期でもあった。また、食に関する漫画がヒットし、1980年代半ばには「一億総グルメ」という言葉も生まれた。
その中で各社は、多様化する消費者のニーズに対応すべく、新商品の開発に努めた。1983(昭和58)年には、容器のサイズやファッション性を追求した
「容器戦争」が起こり、1987(昭和62)年には
「アサヒスーパードライ」の発売をきっかけにドライブームが起きた。