酒・飲料の歴史 日本のビールの歴史 酒・飲料の歴史 日本のビールの歴史

時代別解説

昭和24年〜昭和45年(1949〜1970)

生活にとけこむビール

(5)「国民飲料」となったビール
ビールはそれまで夏の飲み物とされていたが、この頃には年間を通じて飲まれるようになった。暖房設備が整い、夏でなくてもビールを飲む習慣が生まれたことから、冬季の需要が大きく落ち込まなくなったためである。

贈答品でもビールは定番品となった。1963(昭和38)年5月28日付の『朝日新聞』には、「主力商品はビール 中元贈答品の内見会」という記事がある。当時のデパートの新聞広告でも、中元商品として最初にビールがリストアップされることが多かった。

さらに1960年代から、休日に家族や友人たちとピクニックなどのたちとアウトドアレジャーを楽しむ「レジャーブーム」が始まると、海や山、あるいは映画館や遊園地などでビールを飲むようになった。それに伴い、途中で立ち寄る駅や観光地の売店でもビールが販売された。野球場でビールを飲むのが一般的になったのもこの頃である。

またレジャーブームに合わせるように、1958(昭和33)年には、今では主流となった缶ビールが登場している。ただ、当時の缶ビールは、アウトドアで手軽に楽しめる、家庭でも保管しやすく冷えやすいという利点はあったものの、専用の缶切りを使って穴を開けて飲むタイプのものだったため、中からビールが噴き出して苦労することもあった。1965(昭和40)年にはプルトップ缶ビールが発売されてその点は解決したが、本格的に缶ビールが普及しはじめるのは1970年代以降のことである。

このように、戦前は都市文化の発展の中で普及していったビールだが、戦後は飲むシーンの多様化とともに、誰もが楽しめる「国民飲料」として人々の生活の中に浸透していった。
キリンビールのお中元ポスター

キリンビールのお中元ポスター

広島市民球場でのビール販売の様子

広島市民球場でのビール販売の様子


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